インテリアデコレーションエクセルシアーの基礎知識
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10る小物や装飾品までのトータルコーディネートをはじめ、建築に付随するデザインを任されるICから、壁紙や床材の色選定を中心とする内装材の選定のみにとどまるICまでと、同じ資格を持っていながらその差別化はなく、そこに能力的な大きな差があることも実状である。そして前者においては上級者であり、ごく少数である。IC資格試験の範囲は、「建築知識」と「商品販売」に関する内容が多くを占めていることなどもあり、総合的なインテリアの「デコレーションの方法」や「広い視野でのインテリアエレメントの種類」や「実践的な装飾の技術」についてはほとんど触れていない。しかし、日本インテリアデコレーション協会(略称ジーダ、以下JIDAとする)では、「空間におけるインテリアデザインと装飾の観点から大切なこと」は、販売知識・建築技術における知識ではなく、消費者の目前に存在する、生活や文化に密着した物の知識や、その演出の方法であり、「美しい色の組み合わせ」や「素材と色の調和」、そして「どのように飾ればいいのか」など、豊かなインテリアの装飾を実際に行うための「直接的な知識」をわかりやすく明確にすることであると考えている。もちろん、前者の知識も、これを職業とするうえで大変重要なものであるが、インテリアデコレーションをどのような目的によって取り入れたいかによって、その必要性の度合いは違ってくるのである。このように、JIDAのインテリアデコレーション エクセルシアーは、ICとは違った観点や目的を持ち、欧米のインテリアデコレーターと同じ意味を持つことを想定して独自に創られたものである。しかし、欧米とは本来持っている文化が違うため、比較できない部分も多く、取り扱う物の範囲はこの限りではない。私たちが暮らす日本には西洋の文化とはまったく異なる東洋の、また日本ならではの文化が存在する。私たちにとっては、なじみの深い「和の空間」や「生活に密着した文化」は多くの人にとって、心安らげるものであるがそれは日本独自のものでもある。この独自性は、当初中国を中心にアジア諸国から取り入れた異国文化が、鎖国時代に外国との交流を絶ったことで、日本独特の解釈が生まれ文化として発展したことを経緯とする。茶の湯をはじめ着物などの織物、そして陶磁器や漆器などの伝統文化の独自性は、海外で高く評価されている。このように私たちが世界に誇れる芸術や伝統文化は、常に生活や空間に関わるものがほとんどであり、インテリアデコレーションにおいても、和を表現することは重要な役割を持っているのである。インテリアデコレーション エクセルシアーはこうした背景のもと誕生した。実務経験の豊富な現役のスペシャリストたちによって考案され、新たに創設した資格制度でインテリアのスペシャリストとしての「最高峰」をめざして作られた資格である。その概要と資格の等級の種類および目的は下記のとおりである。インテリアデコレーション エクセルシアーはもっとも下のレベルを2級、その上を1級、さらに上の最上級の、3レベルと定める。2級では、インテリアデコレーションのための基礎知識と基礎技術を学ぶことで、消費者自身が求めるイメージに近いインテリアの選択・演出・装飾ができるようになり、ライフスタイルにおいてより質の高い空間づくりに役立てられることを目的としているが、同時にこれらの知識を学ぶひとりひとりの生活の歴史である「生活の文化」と、暮らしのセンスである「感性の表現力」を育てることが最大の目的でもある。そして、機能的かつ視覚的にも「心地いい空間」を「継続的に自分の手でつくっていく力」を伸ばし、習得してもらうことに重点をおく。1級ではその感性をさらに伸ばし、より幅の広い豊富な専門知識と技術、専門家としてのセンス、そして客観的な商品選択および助言と提案、さらに実践的な装飾が行える高いレベルを設定し、「インテリア空間の総合的専門家」としてあらゆる場で活躍

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