インテリアデコレーションエクセルシアーの基礎知識
29/34

191多灯照明照明器具による光は、主照明だけではなく補助照明と併用することが有効であることは前述したとおりである。このように複数の光を用いることを「多灯照明」という。インテリア性の高い空間づくりにはこの多灯照明が重要であり基本となる。次に重要なことは照明器具の高低差である。主照明が天井に直付けされている場合は、補助照明はそれよりも低い位置を照らすものを用いることが基本であり、その高さによって室内のくつろぎ感や美しさは変化する。高さの違う複数の照明器具の光が複合されることで、空間に変化を与え光による華やいだ雰囲気をもたらす効果がある。多灯照明の効果部屋の広さに応じて高さのあるもの、またそれより低いもの、そして床に近いものなどのいくつかの器具を併用することにより、さまざまな光の動きが空間に生み出される。このような光の調和は人にくつろぎと安心感を与えるため、多くの場所で利用されている。ホテルのロビーや、客室をはじめレストラン、喫茶店などでもこの効果を実感できる。しかし、照明器具にはさまざまなデザインや素材があり、光源が直接見えているものやまったく見えないもの、また影を生み出すものなど器具によってそれぞれの特徴がある。そのため、照明器具のデザインを一見しただけではその効果はわかりにくい。実際に器具を選ぶ際には、点灯した際イメージしていた光の効果を得られるかどうか、また照度についても確認することが重要である。直接確認できない場合には、次に挙げる照明器具のポイントを考慮して、自分の求めるイメージに合った効果が得られるかを考えることが大切である。・シェードの素材と色シェードとは照明器具の傘のことで、布製や和紙製、金属製、木製、竹製などあらゆるものがある。つくりたいイメージや好みによって選定するシェードは異なるが、ここで重要なポイントは素材の透過性である。シェードの種類によっては光が透けて全体的に漏れるものと、まったく透けないものがあり、この光の透過性は、照明器具の選定において非常に重要となる。透ける素材の場合は周囲にぼんやりと均等に光が広がり、また透けないシェードの場合は上か下方向に光が集中するため、器具全体が明るくなることはない。同じ明るさの照明でも素材によって得られる光の量は異なり、さらに同じ素材でも色によって光の量が変化するのである。白やアイボリーなどはもっとも光を拡散させ明るく見せるが、色が濃くなるにつれ光は吸収され暗くなる。また透過性の高いシェードの場合は、器具の周りの部分も照らされるため、本を読む際のスタンドを設置する場合などには、椅子や本の位置が変わっても比較的対応できることが多いが、透過性の少ない素材の場合には器具の上下または下だけしか照らされないため、スタンドの高さは椅子に座って本を開いた位置より上になくては効果をもたらさない。このように、必要な用途に応じてシェードの素材選定を考慮する必要性がある。用途が特定できない場合や複数の箇所で使用する可能性がある場合には、透過性のある素材のほうが併用しやすい。また高さを調節できるタイプのものなどもあるので、イメージする空間の演出効果や用途により使いわけることが必要となる。空間における照明の心理効果アンビエントで用いる照明器具は、その配置により人の心理にも影響する。室内の平面構成や位置によってその影響に違いが出る。光の高低差と平面的な照明器具の配置は深く関連しているため、双方の効果を踏まえたうえでインテリアデコレーションを行うことが大切である。照明の心理効果・玄関/アプローチ/廊下人を迎え入れるとき、玄関を開けてすぐに視界に入る部屋の奥や、廊下の突き当たりが明るければ人第?章 インテリアデコレーションの技術

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です