インテリアデコレーションエクセルシアーの基礎知識
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83り、多くの場合その空間を個人または法人が所有しているものか、内装変更の了承を建物の持ち主から得られる場合でしか行えない。「アンビエント」とは、「環境」、「雰囲気」を表す言葉で、「箱」となった空間に、家具やカーテン、カーペット、アクセサリー、照明器具などのインテリア調度品を中心として室内空間の装飾と、雰囲気を作ることである。スティルホワイトと比べると基本となる内装材の構成を変更できないことや、それに付随する細部の変更などができないため完成度は下がるが、基本となる空間がシンプルであることが多いため、手軽に模様替えやイメージチェンジがしやすいのが特徴である。また、アンビエントの場合、空間の大きさの区別なくどんな場所でも気軽に行えるので、賃貸契約の集合住宅や戸建て住宅、オフィスなどでも比較的簡単に採用できる手法が多い。インテリアデコレーションを行ううえで必要なことはセンスや技術だけではない。基本的なインテリアについての総合的専門知識と同時に、もっとも大切なのが「情報収集能力」であり、これもデコレーション技術のひとつである。専門家として基本的な知識は誰でも持っていてあたり前であるが、そこから個々が持つ資質を生かし、デコレーションを行うためには「情報」が重要となる。インテリアデコレーションエクセルシアーとしての方向性は実に千差万別であり無限である。なぜなら、情報は常に意図的に更新されるため、情報を扱いながら行動するインテリアデコレーションエクセルシアー自身も「情報の更新」により常に進化し続けなければならないからである。時間とともに流行の形や色は変化し、それに伴い店頭で販売される物品も変わっていくが、この流れには季節があり、それを感じ取ることはとても大切だといえる。多くの人は現在の自分のライフスタイルの嗜好や、それに対する考え方の根本は表面的な流行には左右されない。なぜなら、これまで生きてきた経験を基に作られてきた暮らしの価値観は、それぞれの個人にとって普遍的なものだからである。しかし、普遍的であっても現状に満足しているわけではない。満足していたとしても、多くの人は日常の生活の中に、ちょっとした変化や新鮮さを常に求めているからである。そのため、インテリアデコレーションのように、ある期間や特定の場所において季節感や流行、テーマなどに則して空間を表現することは、一時的な刺激や感動を生むだけでなく、新たな変化を生むことへとつながっているのである。デコレーションをする立場として、私たちは常に情報を更新し、日頃から五感を刺激するさまざまなものに触れることが必要なのである。これには2つの効果があり、ひとつは「新しいものを見ることで感性が刺激される」こと。そしてもうひとつは「これまで見てきたもののよさを再認識できるようになる」ことである。情報や物は時間とともに更新され、やがて飽きられていく。しかし時間の流れの中で、本当に長く愛されるものや、支持されるデザイン、製品もたくさん存在する。それらのアイテムそのものが「本当にいいもの」としての理由を持っているからである。ロングセラー製品、継続されている壁紙やカーテンなどの人気の秘密は「それを採用した結果がよかった」ために繰り返し使用することで、さらに多?─2インテリアデコレーションに必要な知識と情報第?章 インテリアデコレーションの基礎

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